東京23区の新築マンション平均価格が、2026年時点で1億2,126万円を超えました(執筆時点の情報。出典:SUUMO首都圏新築マンション市場動向)。首都圏平均でも8,383万円です。
はっきり言います。普通の収入の人が、賃貸投資目的で新築マンションを買うのはほぼ無理です。
これは悲観ではなく、現実を正確に受け止める出発点の話です。「買えない」と悔やんでいても仕方ない。では、普通の人はどうやって資産を積み上げていけばいいのか。そこを今回は正直に、実体験をまじえて書いていきます。
新築マンション投資が「普通の人」に向かない3つの理由
理由1:そもそも価格が「手が出ない」水準になっている
自宅マンション購入から始まり、鎌倉での賃貸、都内マンション購入・売却、そして都内戸建て購入と、いくつかの不動産を自分で所有・運用してきました。その経験から言っても、今の新築価格は「投資に使う物件」として検討できる水準を超えています。
首都圏の新築マンション供給戸数は過去50年で最低水準(約2.3万戸)にまで落ち込んでいます。供給が絞られた状態で価格だけが上がり続けているため、今後も値崩れしにくい構造になっています。それ自体は市場原理として理解できる。ただ、それは「自分が買いやすい」とは全くの別話です。
理由2:融資が通らない
新築マンションを賃貸投資として購入するには、金融機関から億単位の融資を受ける必要があります。当然、審査は厳しい。年収・職業・資産背景など、銀行が「属性が高い」と判断する人でないと、そもそも話が進みません。
会社員として安定した収入があっても、年収1,000万円未満では選択肢が大きく狭まります。まいったな、と思う現実ですが、これが今の市場の実態です。
理由3:キャッシュフローがほとんど出ない
仮に融資が通って購入できたとしても、問題は続きます。高額な購入価格に対して家賃収入が追いつかず、ローン返済・管理費・修繕積立金を差し引くと、手元に残るキャッシュがほぼゼロ、あるいはマイナスになるケースが多いのです。
建材高騰・人件費高騰・金利高騰が重なり、新築の利回りは年々悪化しています。「手がかからなくて安心」という新築のメリットは確かにあります。ただ、お金を借りてキャッシュフローがほとんど出ない構造で長期保有するのは、投資というより「高い買い物をして維持管理をしている」に近い状態になります。
新築マンションの「10年で価値が急落する」現実
不動産の世界でよく言われることがあります。「新築マンションは最初の10年で価値が一気に下がる」というものです。
これは誇張ではありません。新築プレミアム(新築であることへの上乗せ価格)は、入居した瞬間から消えていきます。築1年を過ぎれば「中古」扱いになり、価格は一段落ちる。築5年、10年とたつにつれ、建物の劣化・設備の陳腐化がさらに価格を押し下げます。
もちろん立地が良ければ資産価値を保つケースもあります。ただその「立地が良い物件」は、冒頭に書いたように今や1億円超の水準にあるわけです。いやはや、本当に堂々巡りな話です。
値下がりを見越して「売り抜く」戦略を取るには、相場を読む眼と資金力、そして市場が冷えたときの耐久力が必要です。普通の人がいきなり挑む舞台ではありません。
では「まわり道」で何を狙うべきか
「新築は無理」とわかったとき、多くの人は「じゃあ不動産投資は自分には関係ない話だ」と思ってしまいます。でも、それはもったいないことこの上ない。
選択肢はちゃんとあります。
中古物件は、新築プレミアムが剥落した後の価格帯で手に入ります。特に築20〜30年前後の物件は、価格が安定していて実際の利回りが計算しやすい。設備の状態・修繕履歴・管理組合の健全性などをしっかり確認することが前提ですが、新築より現実的な数字で投資判断ができます。
地方・郊外の物件は、価格水準がさらに低く、利回りの高い物件を見つけやすい。ただし空室リスクや流動性(売りたいときに売れるか)は都市部より慎重に検討する必要があります。
古民家・遊休不動産は、私自身が今まさに挑戦中の領域です。地方の空き家・古民家を活用した拠点づくりには、価格・可能性・面白さの三拍子が揃っています。もちろん再建築不可物件(現行の建築基準法の接道要件を満たさず、建物を建て直せない物件)や設備のリノベーション費用など、特有のリスクもあります。そこは慎重に調べることが肝心です。
いずれのルートも「新築より安く手に入れて、収益を安定させる」という方向性は共通しています。
資産形成の本質:24時間で「仕組み」を作る
ここで少し視野を広げます。「不動産を買う・買わない」の前に、資産形成の本質的な話をしたいのです。
普通の人に共通する制約は、1日24時間です。働ける時間は決まっている。体力も有限。それでも資産を増やしていくには、自分が動いていない時間にもお金が入ってくる仕組みを複数持つことが本質になります。
会社員としての給与(労働収入)は確かな基盤ですが、それ1本では24時間のうち8〜10時間しか「お金を稼ぐ時間」として機能しません。残りの時間に何かが働いてくれる構造を少しずつ作ることが、資産形成のスタートラインです。
具体的には、不動産の家賃収入・インデックス投資の運用益・副業での収入・駐車場やカーシェアといった小さな資産活用など、複数の入口を持つことが考えられます。どれが正解かは人によって違いますし、全部やる必要もありません。ただ「1本だけ」より「2本・3本」のほうが、時間を使わずにお金が回りやすい構造になります。
「浪費・消費・投資」の分け方が、資産形成の土台になる
仕組みを作る前提として、支出の管理も欠かせません。特に、お金の使い方を「浪費・消費・投資」で分類する習慣が資産形成の土台になります。
- 浪費:価値の残らない出費。気分で買ったもの、使わなかったサービスなど。
- 消費:生活に必要な出費。食費・光熱費・家賃など。
- 投資:将来の価値や収入につながる出費。スキルアップ・資産購入・設備など。
「節約しなさい」という話ではありません。消費は適切に、浪費を意識的に減らし、投資の割合を少しずつ増やしていく感覚です。
私自身、自宅マンションの購入と売却を経験して学んだことがあります。買うときに「これは投資になるか、浪費になるか」をしっかり考えないと、いくら物件を持っていても資産は積み上がらない、ということです。不動産も同じです。価格・利回り・出口の3点セットを考えずに買った物件は、消費あるいは浪費になりかねません。
まとめ:「買えない」をスタートにする
新築マンションが1億円を超えた時代、普通の人がそこに参入しようとするのは、現実的ではありません。それは弱さではなく、正確な状況判断です。
大切なのは、「では何を選択肢にするか」を考え始めることです。中古・地方・古民家・副業・資産運用など、まわり道のルートは思った以上に多くあります。そして「自分が動いていない間も仕組みが働く」構造を、一歩ずつ積み上げていく。それが普通の人の資産形成の現実的な姿だと、私は自分の経験から思っています。
ただし、具体的な物件選択・融資計画・税務対応については、個人の状況によって最適解が大きく異なります。宅建業者・税理士・ファイナンシャルプランナーといった専門家への相談を強くお勧めします。記事はあくまで一般的な情報の解説であり、個別の投資判断を推奨するものではありません。
著者プロフィール:ピクセル大家
宅地建物取引士試験合格者。自宅マンション購入・売却をはじめ、賃貸・都内戸建て購入など複数の不動産を自ら所有・運用してきた実践者。20年以上のWebデザイン・ディレクション・アニメーションプログラミングの実務経験を持ち、現在は地方の古民家・遊休不動産を活用した拠点づくりに取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q. 新築マンションが買えない場合、まず何から始めればよいですか?
まず自分の資金状況と融資の通りやすさを把握することです。その上で中古・地方・古民家など選択肢を広げ、利回りと出口を考えられる物件を探すのが現実的な出発点です。
Q. 中古マンションと新築マンション、投資としてどちらが有利ですか?
一般的に中古の方が利回りを取りやすい傾向があります。ただし修繕リスクや管理状態の確認が必要です。個別の物件・資金計画によって異なるため、専門家への相談をお勧めします。
Q. 副業やWebコンテンツも資産形成になりますか?
継続的な収入を生む仕組みであれば資産の一形態です。不動産と組み合わせて「24時間働く仕組みを複数持つ」構造を作ることが、普通の人の現実的な資産形成の方向性です。
Q. 地方の古民家・空き家投資はリスクが高いですか?
修繕費・流動性・管理の手間など固有のリスクがあります。一方で取得価格が低く利回りが出やすい物件も存在します。必ず現地確認と専門家による建物調査を行ってから判断してください。

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